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屋台店主が語る屋台のミライ

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博多屋台バー えびちゃん

海老名 剛(えびな たけし)さん(52歳)

営業場所:日本銀行福岡支店前(福岡市中央区天神4丁目2−1)
特徴:先代の海老名昭夫(あきお)氏が40年前に始めた屋台を継承。2代目になって12年。唯一の屋台バーとしてカクテルや洋酒を提供。

 

 

屋台のたまちゃん

鳥巣 大介(とす だいすけ)さん(45歳)

営業場所:長浜屋台街(福岡市中央区長浜3-14)
特徴: 第4回屋台公募で合格。2023年6月にオープン。
長浜ラーメン、おでん、焼き鳥などを提供。『大衆焼肉たまや』など飲食店を9店舗経営。

 

ばらかもん

帆本 秀生さん(ほもと ひでお)さん(33歳)

屋営業場所:福岡銀行本店昭和通り側(福岡市中央区天神2丁目13-1)
特徴:第3回屋台公募で合格。2021年10月にオープン。アゴだし豚骨ラーメン、手作りギョーザ、おでん、焼き鳥などを提供。

 

○インタビュアー

八尋 和郎(やひろ かずろう)
株式会社THINK ZERO代表取締役
学位論文「都市における屋台の持続的な運営環境の整備と発展的な活用に関する研究」で九州大学大学院から博士号を取得。その後、公益財団法人 九州経済調査協会に勤めるかたわら、福岡市『屋台との共生のあり方研究会』では経済効果について報告。『福岡市屋台選定委員会』副委員長を歴任。現在に至る。

八尋

福岡市屋台基本条例ができて昨年(2023年)7月で10年が経ちました。2016年には新規営業者の公募も始まり、新しい屋台が増えて雰囲気も変わったし、利用客の傾向も変わったと思います。屋台のこれまでと今後のことを聞くために3名の店主の方に集まっていただきました。
今日は、屋台営業の課題や展望など、日ごろ思っていることをお聞きしたいと思います。市民や観光客に屋台を理解していただく機会にもなるし、これから屋台をやってみたいと考えている人の参考になればいいなと思います。

 

左から八尋(インタビュアー)、海老名さん、鳥巣さん、帆本さん

 

八尋

まず屋台営業を始めた経緯をお話しください。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

僕は屋台を親から受け継ぎました。親の代から数えて今年で40年になります。移転を2回経験して、今の営業場所は3カ所目です。40年前は昭和通り沿い、今のホテルオークラ福岡さん(博多区下川端町)の前で、父がバースタイルで始めたのが最初です。そこで10年間営業した後、冷泉公園(博多区上川端町)の側の歩道に移転し、そこで21年間営業しました。歩道が狭かったので、10年前に日本銀行前の現在の場所に移転しました。
屋台を始めた40年前、「博多で屋台をするならラーメン、焼き鳥、天ぷらができないと、3ヶ月保たない」と心配もされました。今は、バラエティー溢れた楽しい屋台が増えて、いいなと思います。
先代の父は中洲のバーテンダーとして長かったので、まず店舗の時のお客様に声をかけていきました。1年後の大相撲九州場所の時に相撲部屋の親方が見えて、面白い屋台だということで、NHKの九州場所を紹介するコーナーに出て、それから新聞の記事や旅行雑誌で広まっていきました。当時の屋台は食事中心のお店が多かったが、「あと2、3軒行きたい。」という時に、うちのお店を利用する方が増えました。

鳥巣

屋台のたまちゃん

長浜で「屋台のたまちゃん」をやっている鳥巣と申します。第4回の公募で選ばれました。屋台を始めた理由は3つあります。
1つ目は、とりあえず新しいことがやりたかった。
2つ目は、観光業をやりたかった。
3つ目は、長浜を屋台で盛り上げたかった。焼肉店をやっていて、長浜にもお店があって、15年ぐらい経営しています。当時は長浜屋台街に15軒近く屋台があったんですけど、それが高齢化などもあって屋台の数が減ってきて、屋台文化がなくなっていくのを目にしていました。すごくもったいないと思ってました。ちょうどその時に屋台の公募があるというので、地域貢献じゃないですけど、もう1回、長浜を屋台から盛り上げていきたいなという思いで、第4回の公募に応募しました。飲食業を自分で始めたのは32歳で、それまでは違う飲食店の社員として働いて、経営の勉強をさせていただいて、独立して「たまや」という焼肉屋をやっています。
実は、屋台をやる前は、ラーメンは食べに行ったことはあるけど、やっぱり屋台で飲むというのがなかったんです。屋台は、地元のものじゃなくて、観光客のものというイメージがあって行く機会もなかったんですよ。実際、屋台をやることになって、いろいろと屋台に行って勉強をさせてもらいました。その中で何か老舗というか良い屋台は「ちゃん」がついているのが多いなと(笑)。それで屋号に「ちゃん」をつけました。

帆本

ばらかもん

自分の屋台は「ちゃん」じゃないですが、「ん」がついてます(笑)。「ばらかもん」は自分の出身地、五島列島の方言で元気者という意味です。元々明るい性格なので、それも踏まえてつけました。ラーメン屋でずっと修行してて、その時の社長が元々屋台でスタートしている人で、興味を持ったのがきっかけです。そこで働いている時に第1回の公募がありました。その時に知り合いが合格して、それからその人の中洲の屋台を手伝ってました。最初は、右も左も分からなくて、やっぱりきついなと思いました。普通の店舗とは違って、仕込みをして、荷物を運んで、夏は暑いし、冬は寒いし、風の強い日、雨もある。最初はこんなキツイのかと思いました。でも屋台の雰囲気じゃないですけど、お客さんと繋がったりする中で、屋台っていいなと思うようになりました。そして、自分がやりたいなと思ったタイミングで公募があったので、応募しました。

八尋

屋台は本人営業をする必要があるし、天気にも左右されるし、大変だよね。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

昔、「屋台ができれば何でもできる」って言う人がいました。それは労働時間が長く、体力も根性もいるから。

帆本

ばらかもん

そうですね。全部が自分に来る。給料が払えなかったら自分のせいだし、結婚しているので、家の事もあるし、自分次第。だから本当に根性ですよね。もう気合いでいくしかないし、弱音は吐けない。独立して、本当に感じました。

八尋

屋台営業者の生活のリズムはどんな感じ?

海老名

博多屋台バー えびちゃん

午前3〜4時までに片付けて、それから家に帰って食材を収納しないといけない。朝の7時までには寝たいです。それから起きるのは、午後の1時から2時ぐらいの間、でも用事があるともっと早く起きるし、睡眠時間以外はほぼ仕事、時計を見ながら毎日動いています。
でも、楽(らく)しようと思えば楽できる方法はいくらでもあると思うんです。おでんも、仕込んであるものを買ってきてちょっと温めるだけ、ということもできる。でも、そうはしたくない。自分で作るのではなくて購入しないといけない食材もあるけど、そこも物語を作ります。おでんの餃子天は餃子天発祥のお店から購入するとか。それを説明するとお客様も、食べてみたいという雰囲気になる。商売は、できる限り自分の手で仕込んだものを提供したい。それがあるので、寝る時間は、少なくなりますよね。

八尋

屋台は重労働だし、営業するとなると責任もあるし、どうして屋台をやりたいと思った?

鳥巣

屋台のたまちゃん

大前提として後悔しています(笑)。マジでこんなに苦しいとは思わなかった。ただ僕はそれも人生だと思う。もう1回自分の人生をやったらこれ絶対やらないぞという方向に行こうと思ってるんです。そっちの方が楽しいと思うので。もう1回人生があったら屋台をやるかというと絶対にやらないです(笑)。
寝る時間はないですけど、福岡の観光を代表するというか、せっかく福岡には屋台文化があるので、県外に発信する時に恥ずかしくない営業をしたい。それが集客に繋がるし、長浜も盛り上がる。やるからには『長浜に「たまちゃん」あり』と、1人でも多くの人に言ってもらえる営業をやりたいと思ってます。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

僕は、親が体調を崩したのをきっかけに、23歳の時にサラリーマンからいきなりこの世界に飛び込みました。最初、屋台は、自分には向いてないと思っていて、辞めたいと思っていた時期もありました。でも、あるお客様の言葉で心を動かされたことがあって、それは「あなたのところはカクテルを売ってるけど、文化も売ってるね」と言われたこと。屋台って普通の飲食店じゃないんだなと思いましたね。文化としてとらえると、屋台を守っていかないといけないという気持ちが強くなりました。屋台のみんなと一緒になって頑張っていきたい気持ちの方が大きくなりましたね。

帆本

ばらかもん

やりがいはもちろんありますね。屋台の先輩たちが守ってきた文化に触れて、25歳の時に屋台に入って今9年目です。若いからこそ、先輩たち以上に頑張らないといけないと思ってます。先輩たちが守ってきたものプラス、自分たちがもっと盛り上げるという気持ちでずっとやってます。店名にもしているとおり、長崎の五島の看板を背負っているという気持ちもあります。お客さんも、県外からとか、海外からとか、いろんな方がいる。「ばらかもん」という言葉を知ってもらうと、五島を知ってもらえるし、五島に行ってみたいと思っていただけるとさらにいいなと思ってます。

八尋

どんな屋台を目指している?

海老名

博多屋台バー えびちゃん

うちは、移転するたびに集客に苦労したんです。わざわざ来ていただける店の形にしていかないと、多分長く持たないと気づいたんです。本当に行きたいお店だったら移転して遠くになってもタクシーででも来てもらえると思います。繁華街の中洲で飲んだ流れで来ていた人の中にも、移転して離れているならもう行かないという人がいた。だから長浜もそうですよね。わざわざ来てもらえるお店にする心構えでないといけないと思うんです。長浜も新しい店が揃ったし、福岡市(行政)も力を入れてPRしています。時間はかかるかもしれないけど、常に受け入れる立場として、わざわざ来てもらえる何か美味しい料理や楽しい空間をつくる必要があると思います。

帆本

ばらかもん

まさにそうですね。一つ一つのこだわりを説明できるのが大事です。今まで自分たちがこだわってきたことは、別に自分たちから発信するようなことじゃないと思うんです。それはお客さんから「これ何使っているの」と聞かれた時に、答えるだけ。そういうこだわりが、結局、行きたいお店にするんだと思うんです。 だから手を抜かないというか。お客さんに見せない、目に見えないけれども、結局は伝わると思うんです。自分もそういうこだわりは、ずっと持っておきたいんです。睡眠時間もなかったりもしますけれど、それより何かお客さんに伝わるものを大事にしたいと、自分の中では思ってます。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

飲食店は、食べ物を提供するのが基本ですけど、それ以外に目に見えないサービスを提供するのが屋台だと思ってます。だから、かっこよく言うと、屋台はコンシェルジュの役目を果たさないといけないと思うんです。お客様から何か聞かれたときに返せる情報を、分かる範囲で知っておかないといけないし。「次どこどこに行きたい」と言われたら、「屋台でこういうところがありますよ」「新しいとこがありますよ」と説明すると、お客様はびっくりされる。「何で違う店を紹介するの」って、「あなたの店で十分飲み食いさせて、稼いだらいいのに」と言われるけど、せっかく博多に来たのなら、博多を楽しんでほしい。次のお店に行ったら、どこから紹介されて来たか、最初に言ってくださいねと言ってます。紹介したお店に行って、「えびちゃんからの紹介で来た」と言うと、そこにいるお店の人やお客様にも、えびちゃんを知ってもらうことになる。うちに来たことがなければ、来られることもあるだろうし、顔を合わせた時に「お客様を紹介していただいてありがとう」とコミュニケーションも取れる。これも屋台の面白みじゃないかと思います。

鳥巣

屋台のたまちゃん

屋台は本当に観光業だと思っているので、福岡に来て、ああよかったなと思ってもらえるように一つずつ積み重ねるというか、「もっとできることがあるよね」とスタッフみんなで話してます。例えば、「ありがとうございました」と言ってお客さんが屋台から外に出た時に、「写真1枚撮りましょうか」と、絶対お声がけをするとか。
料理では、うちは焼き鳥とおでんと、そしてラーメンを出しているので、長浜ラーメンを食べて良かったと思ってもらえるように、ラーメンの仕込みはこだわっています。自分がいいと思うラーメンを出して、あとはお客さんに聞いて反応をみて、確認しています。

八尋

「たまちゃん」と、「ばらかもん」は公募の屋台だけど、公募期間が終了した後、将来のことは何か考えていますか。(最長で約10年間営業が可能。10年経過後も、改めて公募に応募することもできる。)

鳥巣

屋台のたまちゃん

そうですね、とりあえずは10年を全うするというか、そこを駆け抜けるというところに集中してます。それからラーメン屋で店舗を持ちたいというのは大前提としてあります。それしかない。ただ10年を全うするというのは、生半可な気持ちではできないですね。

帆本

ばらかもん

高校生の時から言ってるんですけど、海外に行くのが好きで、元々の始まりが、プロのカメラマン、それからファッション業界に入ったんです。その時にアルバイトをしていてラーメンをやりたいと思うようになりました。
プロのカメラマンをやっている時に、海外を飛び回る中で、言葉も通じないところでコミュニケーションをとりたい、その国の人たちと一緒に自分が好きな飲食をやりたいと思ったんです。別に何か儲けたいというよりも、本当に仲間たちと一緒に盛り上げていけたらいい。

八尋

屋台基本条例が制定されて昨年の7月で10年が経ちました。この間のルールや公募制をどう評価しますか。

帆本

ばらかもん

自分は決められたことはしっかり守るのは当たり前だと思ってます。そもそも守ってこなかったからルールが出来たので。ただ、ルールに疑問がある時は、自分はこう思うというのは市に伝えるようにしています。条例に関しても、それで変わるまで言うしかない。それでも駄目だったらその時は受け入れる形でやってきてます。
市民のイメージが良くなってきたというのはルールを守ってきたからなので自分は良い方向だと思ってます。
公募制は競争原理が生まれるのが一番良いところだと思います。公募で競争が生まれてきて、それで屋台のレベル、安全面も、衛生面も少なからず上がっていると思います。そこの競争が起こったのがよかったと思っています。

鳥巣

屋台のたまちゃん

屋台を観光資源と思っているので、皆さんと一緒に屋台文化を、店主プラス行政で一緒につくっていけると良いなと思っています。まだ1年経ってないですけど、もっと発信できればと思っています。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

屋台がルール違反をしていないか、区役所が巡回をしてますけど、違反する屋台が少なくなっていれば、その見回りの回数も減らしていいんじゃないかと思います。抜き打ちで来るので常に緊張感ありますから。そこの市の負担は、減らしていいかもしれない。一つのやり方として、屋台の連なり毎に店主の中から責任者を決めて指導してくださいという人を立てれば、見回りの回数は減らせると思います。
もう一つ思うのは、うちの日銀前の通りって、今2軒、空きがあるんです。市がいつ公募をやるのかまだ分かりません。でも、空きが出たら、間を空けずに公募なり、過去の順位から声をかけるとかした方がいいのでは。せっかく、営業ができる場所があるのに、そこの場所からお金が生まれないのは、マイナスじゃないかと思います。やる気がある人に早く場所を提供してあげたらいいと思います。

八尋

市民アンケートでも、観光客アンケートでも、衛生面では向上したとする意見があって、それは屋台の努力があったと思う。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

屋台は、どうしてもトイレの問題があります。うちの日銀前の通りは、屋台から公衆トイレが見えない。だから近くのコンビニエンスストアのオーナーにお願いをして、使わせてもらってます。たまにコンビニのトイレが壊れたとか、使えない状態になると、離れたトイレを紹介しています。だからトイレをもう少し増やしてもらいたいとは思ってます。難しいかもしれないですけど、天神でも新しいビルが建ちつつあるのでそこを利用できるようにとか、何かいい方法があればお願いしたいと思っています。屋台の文化を残すというのは非常にありがたいことなんですが、それに伴ったインフラ整備はみんなが考える問題ではないかと思います。
美味しかったけど、トイレは汚くて利用できないとなると屋台利用客も残念な気持ちになると思います。海外に行くとトイレは有料で当たり前なので、福岡でも有料で綺麗なトイレを作っても良いんじゃないかと思います。

八尋

屋台の周辺部も含めて、そこをいかに綺麗にするか。トイレをどうするかの問題が出てきて、それは都市計画上、屋台をどう位置づけていくのかということになると思う。屋台の位置づけを観光施設とすれば、そのためのトイレをどうしていくのかということになっていくと思いますね。

そのほか、必要なことはあるかな?

海老名

博多屋台バー えびちゃん

日本で唯一、屋台が100軒以上残っている都市なので、屋台をテーマにサミットみたいなのができれば楽しいと思います。福岡に屋台が残っている理由とか、いろんな事情を知らない方はたくさんいます。うちの街にもできないかなって言われるけど、歩道で普通は商売してはいけませんが、条例を作ってそのルールを守りながら、上下水道も電気も作ってもらっている。僕たちが占用料や使用料を払っていることすら県外の方たちは知りません。そういう情報発信ができればいいと思ってます。なぜ福岡に今も屋台が残っているのかを、もっと深掘りして知っていただきたい。

鳥巣

屋台のたまちゃん

単純にもっと屋台を増やしてもいいと思うし、もっと個人だけじゃなく、企業でも参加できるようにすればいいと思います。店主が店に出るというルールがありますけど、観光資源となれば365日開けられる方がおもてなしになります。もちろん、ちゃんとスタッフの教育ができれば、の話ですけど。

八尋

今は100数軒あって、お客が並んでいる屋台もあって、屋台数はもっと増えた方がいいのか。どう感じていますか。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

可能であれば、増えた方がもっと楽しさが増えると思います。お客も並んでいる状況なので。これはかなり大きな力や仕組みがいると思いますが、そうなってほしいなと思っています。

帆本

ばらかもん

自分は増やすのは、どうかと思います。どっちみち増やしたところで辞めていく人は辞めていく。屋台は大変なので、増やしたところできつくて、やめていく人も多いと思うんです。今の軒数だからこそ保っている部分もあると思います。増えすぎたらお客の取り合いになり、結局やめることに繋がる。だからどこまで増やしたらいい感じになるのか分からないですよね。

八尋

福岡市にとって何軒が適正かと聞かれることがある。答えはなかなか出せない。行政のコストから考える軒数もあれば、店主が考える軒数もある。軒数が増えればもちろんライバルが増えることになる、それを嫌う方たちももちろんいる。お客さんからしたら並ぶ時間が少なくなるので、増える方がいいと思うかもしれない。多分それぞれの立場で考え方が違う。

屋台組合注1)も重要な役割を担っていると思うけども。

帆本

ばらかもん

組合をひとつにまとめると全員に周知できるし、意見も交換できるので、自分はそれが理想だと思います。それは難しいことだと理解もしていますけど、その方がもっと一致団結できるので、いずれはひとつになってほしいなと本当に思います。

海老名

博多屋台バー えびちゃん

いずれ先輩たちが引退される時に、守っていくのは若い世代の人たちなので、その時代が来た時に、いかに体制を整えるかは大事じゃないかと思います。

鳥巣

屋台のたまちゃん

まとめるのは難しいですが、長浜は同期が多い。飲み会を開けば皆さん参加してもらえます。ただ、キャンペーンを一緒にやろうかと言って、足並みが揃うかというとそうではないです。みんなをまとめるというのは今、つかみどころがなくて、どうやってまとめようかと思っています。

注1)福岡市には屋台店主の団体として、福岡市移動飲食業組合(主に天神エリア)、博多移動飲食業組合(主に博多・中洲エリア)、新長浜移動飲食業組合(長浜エリア)の3屋台組合がある。鳥巣さんは、新長浜移動飲食業組合の組合長。

左から鳥巣さん、八尋(インタビュアー)、海老名さん、帆本さん

八尋

今日は、貴重な意見をありがとうございました。また、飲みにいくので、よろしくお願いします。

座談会を終えて(八尋感想)

活躍されている3人の屋台店主からお話をお伺いしました。3店主ともに屋台の苦労と同時に、料理、おてもなしに対する強いこだわりと、やりがい、喜びを語られました。同時に屋台を通して福岡を盛り上げたいとする強い気持ちが感じられました。それは屋台が福岡のシンボルとなることで、屋台店主の中に自覚として醸成されたものではないかと思います。「屋台は福岡の文化である」と言う人がいますが、その文化とは何かというと答えられない人がほとんどです。今回のインタビューで、福岡を盛り上げたいとするこの気持ちこそが引き継ぐべき文化ではないかと思いました。その盛り上げる方法として、印象に残ったのが「屋台は福岡のコンシェルジュである」とする意見でした。屋台を訪問する観光客が増える中、屋台はコンシェルジュとして福岡の重要なツールとなってくるだろうと思います。
また、将来に向けていくつかの提案もありました。アンケートをみても市民の屋台に対する理解の深まりや、観光拠点としての認識も強まっていることから、単に屋台問題として取り扱うのではなく、福岡市の都市戦略として、広く議論される必要があるでしょう。

 

 

 


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